渡辺信太郎 氏【ムーンクラフト・紫電プロジェクト リーダー】

渡辺信太郎 氏【ムーンクラフト・紫電プロジェクト リーダー(レースエンジニア)】

我々が参戦しているのはGT300(紫電)やフォーミュラニッポンです。当たり前ですが、4輪レースでもタイヤが動いてしまう(ホイールからズレて回る)というのは、非常に大きな問題です。

ビードストッパー(塗装)を知ったのは、紫電でちょうどその問題に直面し始めた頃だったんです。早速ビードストッパーを塗っていただいたら何も問題が出ない。それじゃ効果がわからないんで、有り無しを比較するために富士スピードウェイでテストを行いました。タイヤは無しでも短い距離では動かないんです。10ラップ、20ラップぐらいでは問題なし。でも、30ラップと距離が長くなると問題が出てくる……。

タイヤがホイールから動く(回る)とホイールバランスが崩れます。そうなると振動が出て、ドライバーは運転しにくいし、ラップタイムも落ちる。GT300は耐久レースですから、レースが進んで周遅れを抜く際にラインを外すと、タイヤカスを拾って、これでもすごく振動がでる。それにタイヤが動いてホイールバランスが崩れたことが重なると、とんでもなく激しい振動になり、勝負所だと致命傷です。そのタイヤカスが取れるのにスピードの遅いサーキットだと2ラップぐらいかかってしまうんですが、その振動回復もビードストッパーを施してあった方が早い。

4輪では前後にビードストッパーを施します(バイクはリアだけ)。リアは駆動力で、フロントはブレーキングでタイヤが回るからです(動く方向は逆になる)。

そのブレーキングでタイヤがロックすると、タイヤにフラットスポットができ、これでも振動が出ます。また、1度できたしまったフラットスポットは直らず、次のタイヤロックを誘発もします。こうなるとタイヤ交換を余計にすることになって、争いから脱落することになる(通常タイヤ交換は300kmレースで1回、500kmで1~2回、1000kmで4回)。タイヤロックはホイールバランスが崩れていると起こしやすいので、その意味でもタイヤが動かないことが重要なんです。

現在は塗る部分を増やして、ビードの立ち上がり部分まで塗ってもらっています。4輪では加減速やコーナリング以外にも直線で270km/hぐらい出ると、空力(ダスンフォース)で1tもの力がかかるので、タイヤへの荷重が非常に大きいんです。ですから少しでもズレないようにという処置です。現在GT300の紫電は車重1250kg(レース時はさらに戦績が良いと乗せられるウェイトと、性能調整=マシンの性能が良いと最初からかせられるウェイトがプラスする)から、けっこう重い。これでタイヤの空気圧は、スタート時で1.1(kg/cm?)と低い。空気圧は走行直後1.75、走行中1.9ぐらいです(かなり低圧。ちなみにバイクの最新スリックやプロダクションレース用低圧タイヤは冷間時1.7とかで温間時2.1~2.2程度までという)。これに最大2.5Gかかるわけですから、タイヤとホイールがズレないようにするのは大変ですよ。特にもてぎのようにストップ&ゴーのレイアウトだとタイヤへの負担はさらに大きい。

ビードストッパーは初期のモノより耐久性が上がっているみたいですね。シーズン中に何度もホイールを塗り直すのは時間的に無理があるし、ランニングコストもかさみます。その点でも西村さんのビードストッパーは優れていて何の問題もなく使えています(他のはストッパー効果を持つザラザラが削れてしまうという話も聞きます)。

レースでは不確定要素をできるだけ排除しておくことが鉄則です。GTは予選での1発の速さよりも決勝でのアベレージスピードを上げ、しかも燃費を良くすることが勝負になります。ですから、いかにタイヤを安定させて使うかが勝負。ビードストッパーは見えない地味なモノですけど、レベルの高いレースになればなるほど、こういう小さなことが勝つには大切になるんです。今後は他のクラスのマシンにも使おうと思ってます。

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